The 28th Kinki Association for Clinical Engineers

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一般演題

一般演題3
血液浄化①

Sun. Oct 9, 2022 11:20 AM - 12:20 PM 第3会場 (Zoom)

座長:重松 武史(平生会宮本クリニック)、瀬川 雅也(JCHO鞍馬口医療センター)

[03-03] 透析排液モニタに関する新たな考察

*島本 佳昌1,3、粕本 博臣2、松下 誠吾1、山本 貴敏1、海本 浩一3 (1. 山本クリニック、2. 川崎病院、3. 大阪電気通信大学)

【目的】  
 透析排液モニタは, 透析排液中の成分濃度を紫外光(UV)吸光度で推測し, 標準化透析量Kt/Vをモニタリングする装置である. 透析排液モニタの光源である280nm帯のUV吸光度は, Kt/Vの指標である尿素をほとんど吸収しないことが知られている. 今回, 尿素と透析排液モニタとの関連についてさらに検討を試みた.
【方法】
  尿素と尿酸の試薬(富士フイルム和光純薬)を透析液(キンダリーAF2号, 扶桑薬品)に溶解し, 分光光度計を用いて各溶質のUV吸収スペクトルを比較した. 次に, 実際に透析排液を採取し, その中に含まれる尿素の実測濃度とUV吸光度で算出した推測濃度で相関を調べた. さらに, 重回帰分析を実行し, UV吸光度と実測濃度の関係で尿素における偏相関係数(rp値)を調べた.
【結果】
 尿酸のUV吸収は236nmと280nmで強くみられた. 尿素のUV吸収は, 236nm付近で280nmよりも吸光度が0.05高かった. 尿素の実測濃度と推測濃度の関係は, 相関係数(r)が236nmでr = 0.78 (P<0.0001, n = 27)で280nmではr = 0.87(p <0.0001, n = 27)と280nmの方で高い相関を認めた. また, rp値で比較した場合は, 236nmで 0.40 (n = 27, p=0.048)であったが, 280nmでは -0.07 (n=27, p=0.747)と極めて低値を示した.
【結語】
 透析排液モニタの光源として280nm帯のUV吸光度を用いて, 透析排液中の尿素濃度の推測は可能であるが, 実際は尿酸の影響でrp値が低く尿素と関連を示さなかった. 一方で, 236nmでのrp値は280nmより高く, 少なくとも透析排液での236nm吸光度は280nmに比し尿素と関連が深いことが明らかとなった.