The 28th Kinki Association for Clinical Engineers

Presentation information

一般演題

一般演題5
血液浄化②

Sun. Oct 9, 2022 1:30 PM - 2:30 PM 第3会場 (Zoom)

座長:下村 太郎(大阪赤十字病院)、中村 拓生(明石市立市民病院)

[05-02] 過粘稠度症候群を呈した原発性マクログロブリン血症に血漿冷却濾過法を施行した1例

*山本 寛之1、岩下 裕一1、金子 直也2、西谷 喜治3 (1. 市立奈良病院 医療技術部 臨床工学室、2. 市立奈良病院 血液・腫瘍内科、3. 市立奈良病院 腎臓内科)

【はじめに】
原発性マクログロブリン血症は、IgM産生細胞であるリンパ形質細胞の単クローン性増殖を示す造血器腫瘍であり、腫瘍細胞の増殖及び腫瘍細胞が産生する過剰なIgMによって、過粘稠度症候群、貧血、出血傾向、リンパ節腫瘍などの症状がみられる事がある。治療法として、リツキシマブを中心とした化学療法、血漿冷却濾過法(Cryofiltration:CF)などがある。今回、過粘稠度症候群を呈した原発性マクログロブリン血症に対してCFを施行した1例を経験したので報告する。
【症例】
症例は71歳の女性。左乳癌術後に化学療法を受けており、採血でIgMκ型Mタンパク血症を認めた。骨髄検査で原発性マクログロブリン血症と診断され、IgMが4456.8mg/dl、過粘稠度症候群の症状と考えられるめまい、立ち眩み、発熱を認めた為、IgM除去を目的にCFを施行することとなった。
【治療条件】
血漿分離器、血漿成分分画器に旭化成メディカル社製のプラズマフローOP-80D、カスケードフローEC-50Wを使用し、抗凝固剤にヘパリン2000単位/h、血液流量100ml/min、VAとして右内頚静脈に短期留置型カテーテルを留置した。冷却法は、1次膜と2次膜の間に冷却用コイル回路を接続し、直接氷水に浸漬させた。Ht値が26.3%、体重を62.8㎏であり、毎回の目標処理量を総血漿量である3.5Lで設定し1回/wで2回施行した。
【結果】
処理量は1回目が1.54L、2回目が2.63Lであった。IgMはCFによりそれぞれ3587mg/dlから2725mg/dl、2906mg/dlから1600mg/dlと減少し、IgMが2000㎎/dL以下となった為、CFを終了した。施行中は寒気や気分不良等なく安定していた。その後化学療法により、IgMの上昇は現在まで約6ヶ月間は確認されていない。
【考察】
今回、血漿の温度測定を行っていないが、クライオゲルを目視で確認できたことや、IgMが減少したことにより適切な温度に下げられていたと考えられ、過粘稠度症候群の症状は消失し、CFは有効であったと考える。
【結語】
過粘稠度症候群を呈した原発性マクログロブリン血症に対し、血漿冷却濾過法施行した症例を報告した。