The 28th Kinki Association for Clinical Engineers

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一般演題

一般演題5
血液浄化②

Sun. Oct 9, 2022 1:30 PM - 2:30 PM 第3会場 (Zoom)

座長:下村 太郎(大阪赤十字病院)、中村 拓生(明石市立市民病院)

[05-03] MGクリーゼに対するPEの施行経験

*東川 卓也1 (1. 洛和会音羽病院 CE部)

【背景】重症筋無力症(以下MG)に対する外科治療(胸腺摘出術)の有効性は従来から報告されており、標準的治療の一つとして位置づけられている。一方で症例が希有であることからその周術期管理については経験的に行われていることも多く、EBMに基づいた治療方針は明確になっていない。γグロブリン分画に存在する抗アセチルコリン受容体抗体によりMGが発症すると考えられるため、単純血漿交換療法(以下PE)はその液性因子を除去するために行われる。
【目的】MG急性憎悪症例に対してPEによる治療を行った。その治療方法と結果について報告する。
【症例】60代女性。2020年10月上旬に複視と右眼瞼下垂が出現、11月6日に呂律困難症状が出現したため 11月10日より当院入院となった。アンチレクス試験陽性、抗アセチルコリン受容体抗体陽性、胸腺腫の合併の結果より全身型MGと診断された。12月1日に胸腺摘出術施行後増悪なく経過していたが12月6日に急性呼吸不全発症し、MGの急性増悪と考えPEとステロイドパルス療法を開始した。 
【方法】装置はPlasautoiQ21、血漿分離器はプラズマフローOP-08Dを使用した。置換液はFFP、Ca補正目的にてカルチコール、抗凝固剤はナファタット®を使用した。計6回施行。
【結果】抗アセチルコリンレセプター抗体値が1回目開始前と6回目終了後を比較して、27から17nmol/Lへ低下した。1回目の前後ではRoomAir下にてPO2 が58から70mmHgへ上昇、呼吸困難の自覚症状・頚部の関節運動は改善した。3回目施行後は眼瞼下垂症がなくなり、状態が改善した。
【考察】PEを行ったことによりMGの原因となる抗アセチルコリンレセプター抗体を取り除くことができたため、症状が改善した。術後にナファタット®、FFPを用いることで出血リスクを最小限に抑えることができた。
【結語】MG急性憎悪症例の治療にPEが有効である可能性が示唆された。