【一般講演】リサイクル/鉱物処理

[2506-17-01] (学生発表：修士課程)有機溶媒を使用しない深共晶溶媒によるSc(III), Y(III), Fe(III)の選択的分離

○松本 茉李南¹、金丸 慎太郎¹、馬場 由成¹、菅本 和寛¹ (1. 宮崎大学大学院工学研究科)

司会：松本和也（秋田大学)

キーワード：N-ラウロイルサルコシン、深共晶溶媒、選択的抽出、スカンジウム、イットリウム

希土類元素であるスカンジウム(Sc)は、近年様々な産業分野で注目を集めそれらの応用に需要が高まっている。しかし、Sc鉱石は自然には存在しないため、生産量が需要を満たすことは困難であり、将来は電子廃棄物よりスカンジウムだけを選択的に分離・回収を行う必要がある。また、従来の希土類元素の分離には抽出剤を大量の有機溶媒に溶解して使用することが問題の1つである。本研究では、有機溶媒を使用しない新規抽出剤を開発するために、スカンジウムの新規抽出剤として期待されるN-ラウロイルサルコシン（NLS）に着目し、工業的によく使用されている中性抽出剤であるトリオクチルホスフィンオキシド（TOPO）(固体-固体)と混合することで“水素結合“を介して液体の深共晶溶媒（DES）を創出することに成功した。そのDESを使用し、希土類金属の中でも分離・回収が難しく、供給が追いついていないスカンジウムを対象に他の金属との分離および回収について検討した。その結果、NLSとTOPOの比率や水相の陰イオンを変化させることにより、pH依存性試験においてスカンジウム、イットリウムおよび鉄を選択的に分離できることが明らかになった。