日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[A] 防除(物理的・化学的・その他)

2024年3月29日(金) 09:00 〜 11:30 A会場 (橘)

10:30 〜 10:45

[A-07] ミカンハダニ防除の高濃度少量散布化に向けた試み

◯鹿子木 聡1 (1. 鹿児島県農業開発総合センター)

農薬散布の省力化を目指してドローン散布を想定し、アバメクチン・エトキサゾール水和剤(以下、供試剤)の高濃度少量散布によるミカンハダニの防除効果を検討した。シィクワーサー実生苗の全ての葉表面に対して試験的に100倍希釈した供試剤を塗布して風乾させた後、葉裏面にミカンハダニ雌成虫を3反復合計で120頭接種したところ、処理7日後の補正死亡率は97.9%と高かった。また、放飼虫は葉の裏面よりも表面に多く、葉から葉へ移動する様子を確認した。次ぎに、露地栽培ウンシュウミカンの樹上から供試剤の100倍希釈液を動力噴霧機で樹あたり0.2L散布したところ、樹上部の感水紙農薬被覆面積率は葉表面で約40%、葉裏面は約3%と付着は少なかったが、散布8日後のミカンハダニ防除効率は同剤2,000倍希釈液の慣行散布(5.3L/樹)と同等の96.3と高かった。以上、ミカンハダニに対する高濃度少量散布については、直接殺虫効果に加え、ミカンハダニの薬剤被覆部位への歩行行動による被曝の効果も期待できることが明らかになった。