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[A-16] イネカメムシの薬剤感受性に関する地域間比較
イネカメムシは稲籾を専食し,斑点米やしいな籾を発生させる.2010年代後半から関東以西のほぼ全域で多発するようになり,収量が大幅に減少するような甚大な被害も見られるようになった.これまでにも薬剤感受性に関する試験結果が複数報告されているが,地域間で感受性を比較する包括的な調査は多くは実施されていなかった.そこで本研究では,2023年に茨城県,千葉県,三重県,山口県,福岡県,大分県の6地点からイネカメムシを採集し,採集世代の成虫と累代により得られた3齢若虫を用いて虫体浸漬試験を行うことで簡易的に地域間の薬剤感受性を比較した.さらに各薬剤の被害抑制効果を確認するため,一部地域個体群については網掛け放飼ポット試験と自然発生条件下での圃場試験を実施した.その結果,供試した一部の薬剤は九州北部や西日本全域の採集個体群で殺虫効果が低いことが確認され,圃場での斑点米抑制効果にも影響が認められた.一方,ジノテフラン剤については,イネカメムシの感受性地域間差が小さく圃場での効果も安定していたことから,広い地域でのイネカメムシに対する防除効果を有することが期待された.
*MCCLS株式会社:三井化学クロップ&ライフソリューション株式会社
*MCCLS株式会社:三井化学クロップ&ライフソリューション株式会社