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[A-26] 野外におけるクビアカツヤカミキリ成虫の振動による行動制御
クビアカツヤカミキリ(Aromia bungii 以下、クビアカ)は、サクラ、モモ、ウメ等、バラ科樹木の害虫であり、演者らはこれまでネット内などの制約条件下における、振動を用いたクビアカの行動制御について報告してきた。今回は栃木県足利市において、飛来または羽化したソメイヨシノ上の成虫に対して振動による行動制御の効果を検証した。6月上旬、試験木として4本のソメイヨシノに振動発生装置(東北特殊鋼製)を設置し、2本を振動木、2本を対照木として2週間毎に入れ替えて主に100Hzの振動を一定間隔で与えた。6月下旬のクビアカ初発時期から7月末までほぼ毎週、午前8時から午後5時まで試験木に出現する成虫を観察し、その個体数、雌雄、行動などについて記録したほか、自動カメラで1分毎に各試験木の樹幹を撮影した。その結果、観察された個体数は振動木と対照木との間にほとんど差がなかったが、樹幹上での行動には差異がみられ、振動木ではより静止する傾向があったことから、振動による行動制御の効果を確認できた。本研究は、生研支援センター・イノベーション創出強化研究推進事業(04015C1)による支援を受けた。