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[A-39] 細胞質不和合を引き起こすボルバキアに対する宿主応答
細胞内共生微生物ボルバキアは、感染している宿主メスの適応度を上げる一方、さまざまな繁殖操作を行う。そのうちの一つ、細胞質不和合(CI)はボルバキア感染オスと非感染メス間での交配により胚期致死が起きる現象である。茶の重要害虫であるチャハマキには、機能未知のwHm-a、CIを引き起こすwHm-b、メスの適応度を上げるwHm-cの3種類のボルバキアが感染している。CIは、3重感染オスあるいはwHm-b単独オスと非感染メスとの交配により起こり、ふ化率が低下する。野外で採集した成虫のうち、メスでは適応度が最も高い3重感染が優占するのに対して、オスではwHm-bの感染率が低い。そこで本研究では、チャハマキのオスが適応度を下げるwHm-bに対する増殖抑制メカニズムをもつとの仮説をもとに、宿主応答を明らかにすることを目的とした。PCRおよびqPCRにより、母親から垂直伝播したボルバキアはwHm-bのみ4齢2日目から全身で減少すること、RNAseqおよびRT-qPCRにより抗菌ペプチドの遺伝子発現量が増加することが分かり、wHm-b特異的な免疫応答が示唆された。