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[A-44] マダラケシツブゾウムシ超入れ子型共生系を用いた、植物―昆虫―共生細菌間相互作用研究
虫こぶは、昆虫が植物を形態的・生理的に操作することで形成され、形成昆虫にとって餌場や天敵からのシェルターとして機能する“延長された表現型”である。形成機構の解明は様々な分野から注目されているが、操作実験が困難なことから、機構の多くは未解明である。我々は、「植物に寄生する植物」アメリカネナシカズラに寄生して虫瘤を形成する、という極めて興味深い生態をもつマダラケシツブゾウムシを実験室で安定して維持する系を確立し、研究を進めている。これまでに様々な操作実験を行い、虫こぶ誘導には成虫が関与し、肥大化には幼虫が関与することを示唆する結果を得た。また、本種ゾウムシの全ての個体には共生細菌Sodalisが存在していることが明らかとなった。除去実験により、Sodalisはクチクラ硬化やゴール形成にも関与することが示された。この植物―寄生植物―昆虫―共生細菌から成る“超入れ子型共生系”を対象として、本会では相互作用機構解明に向けた遺伝子機能解析や共生細菌ゲノム解析等の進捗についても報告したい。