日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[B] 分類・形態・組織

2024年3月29日(金) 09:00 〜 11:30 B会場 (萩)

09:00 〜 09:15

[B-01] コジマイシノミとは何か?:内田一博士により記載された海岸性イシノミ Halomachilis の分類学的再検討に向けて(昆虫綱・イシノミ目・イシノミ科)

◯武藤 将道1,2、町田 龍一郎3 (1. 名城大・農、2. 福島大・理工、3. 筑波大・菅平)

内田一博士は北海道厚岸郡厚岸町の海岸の岩礁、岸壁より採集されたイシノミを「二回」記載している。最初の記載は 1949 年に『動物學雑誌』で Halomachilis akkesiensis として、二回目の記載は翌年の 1950 年に『日本昆蟲圖鑑』で Halomachilis kojimai として行われた:前者では新種、新学名として明言されているが和名は示されず、一方、後者ではコジマイシノミとの和名が付されているが、新種、新学名としての明言はない。しかし、いずれの記載でもタイプ指定は行われておらず、タイプシリーズは紛失した可能性が高い。また、これらの記載以降に日本国内で出版された文献では、これらの学名だけでなく、新結合である明示およびそれを行う根拠の説明はなされてはいないものの、いくつかの結合が本種の学名として提示されてきた。両種は、記載内容および採集場所から同一種である可能性があるが、その検証のために模式産地より得られたサンプルの参照も必要である。そこで、演者らは厚岸町において、これらの種と同定できる多数の標本を採集することに成功し検討を開始した。本発表では、本 Halomachilis イシノミの分類学的再検討の第一弾として、上記の二記載の扱いを検討するとともに、その帰属について議論する。