日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[B] 分類・形態・組織

2024年3月29日(金) 09:00 〜 11:30 B会場 (萩)

10:45 〜 11:00

[B-08] 小笠原諸島で発見されたHeliozela属の一未記載種(チョウ目:ツヤコガ科)

◯屋宜 禎央1、川北 篤2、広渡 俊哉1 (1. 九大院・農・昆虫、2. 東大・理・植物園)

ツヤコガ科Heliozela属は世界から30種程度が知られる潜葉性小蛾類の一群であり、幼虫は蛹化前にポータブルケースを作る習性をもつ。本属の起源はオーストラリア区と考えられており、オーストラリア区から東洋区に分布する種の幼虫は、一般的な潜葉性種と同様に葉身へ潜るが、旧北区の種の多くは若齢幼虫が葉柄や主脈に潜った後に葉身へと潜ることが知られている。講演者らは小笠原諸島において、フトモモ科のヒメフトモモおよびムニンフトモモの葉身に潜るHeliozela属の一種を発見した。そこで、本種の正体を明らかにするために交尾器を含む形態の比較を行うとともに、核領域を含むDNA解析による系統関係の推定を行なった。その結果、小笠原諸島のHeliozela属の一種は未記載種であり、奄美大島でフトモモ科のアデクの葉に潜る未記載種とは潜り方が異なり、系統的にも離れていた。また、幼虫を飼育した結果、大きいケースと小さいケースを作る個体が見られた。小さいケースを作った個体はケースを作った後1ヶ月以内にすべて羽化したことから、ケースのサイズを変える習性は休眠に関わっていることが示唆された。