日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[B] 分類・形態・組織

2024年3月29日(金) 13:30 〜 18:00 B会場 (萩)

13:30 〜 13:45

[B-11] 新たに確認されたホソキノコバエ科(ハエ目:キノコバエ上科)の日本未記録種と未記載種

◯江口 一馬1、中村 剛之1 (1. 弘前大・白神センター)

ホソキノコバエ科はBolitophila属1属のみからなる分類群で,北半球の広範囲に65種,日本では10種が記録されている(Okada, 1934;Huerta, 2018, etc.).しかし,日本産のホソキノコバエ科は分類学的な解明度が低いとされている(中村,2016).実際に,東北地方北部の3県で野外調査を行った際には,日本未記録種2種と未記載種5種を含む10種のホソキノコバエを確認し,これらを2023年度の日本昆虫学会大会(佐賀大会)で発表した.
 その後も野外調査を継続し,佐賀大会で発表した種以外にも,旧北区に広く分布するものの日本国内から記録されていなかったB. austriaca (Mayer, 1950)と未記載種1種を新たに確認した.このB. austriacaに関して,カナダ農業・農産食料省が保管する標本群(CNC)を詳細に調査したところ,B. austriacaが,北米から記載されたB. perlata Garrett, 1925の新参シノニムである可能性が出てきた.
 本講演では,新たに採集された日本未記録種及び未記載種の形態的特徴を示すとともに,シノニム関係が疑われるB. perlataB. austriacaに関して議論する.