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[B-12] 発育環境がキイロショウジョウバエの翅干渉色パターンに与える影響
双翅目や膜翅目の昆虫の翅は黒色の背景で観察すると鮮やかな薄膜干渉色の発色が見られる。そのパターンはWIPs(Wing Interference Patterns)と呼ばれており、翅の厚み構造を反映していると考えられている。一般的に、昆虫の形態形成には幼虫期の栄養条件(餌のカロリーやタンパク質:炭水化物比)や温度が影響する事が知られており、幼虫期の発育環境が翅の形態形成を通してWIPsにも影響する可能性がある。しかし、このような幼虫期の発育環境が成虫のWIPsに与える影響は未解明である。本研究では、キイロショウジョウバエを研究材料として、幼虫期の栄養条件がWIPsに与える影響を明らかにすることを目的として研究を行った。キイロショウジョウバエの発育に影響することが知られている、幼虫期の餌のカロリー濃度とタンパク質:炭水化物比の異なる餌、異なる飼育温度でキイロショウジョウバエを飼育し、成虫のWIPsを定量化した。その結果、タンパク質:炭水化物比と飼育温度はWIPsに有意に影響することが分かった。また、幼虫の発育環境は適応度にも影響したため、WIPsがその個体の適応度を示す指標として、配偶者選択に活用される可能性が示唆された。