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[B-21] 旧世界に産するアシナガバチ亜科のオス交尾器形態とその多様化
アシナガバチ亜科は汎世界的に分布し、多様な生活史形質を有することから、行動学的・社会生物学的研究の主要な対象とされてきた。一方で、特に旧世界の熱帯域では分類学的整理が遅れているグループもあり、生態学的研究は限られる。アシナガバチ亜科では、メスでは種間の形態的差異が小さく、分類が困難な傾向があるが、オスでは種間に明瞭な差が見られるものの、出現期間は短く、標本が少ないことも分類を困難にしている可能性がある。よって、オスの形態を詳細に記録することは、アシナガバチ亜科の分類学的研究に大きく貢献する。本研究では、旧世界産のアシナガバチ亜科 5属 53種について、オス交尾器形態を詳細に観察した。また、アシナガバチ亜科内の系統関係に照らし、交尾器形態の多様化の傾向を考察した。Parapolybia属は、これまでRopalidia属とともにチビアシナガバチ族されてきたが、交尾器形態はBelonogaster属に類似していた。一方Ropalidia属は、アフリカ産の種においてAedeagus先端が肥大するなど特徴的な形態が見られた。Ropalidia属は、アフリカおよび東南アジアで分断分布するそれぞれのグループで多様な交尾器形態を示している。