[B] Taxonomy, Morphology, Histology

[B-22] アザレアコナカイガラムシ性フェロモンに誘引される天敵寄生蜂の分類学的検討

◯Yuma Sugawara¹, Hiromitsu Inoue¹, Satoshi Toda¹, Jun Tabata^1,2 (1. NARO, 2. Tsukuba Univ.)

コナカイガラムシ類の性フェロモンの中には天敵寄生蜂に対するカイロモン活性をもつものがある。近年性フェロモンが同定された果樹害虫アザレアコナカイガラムシ Crisicoccus azaleaeの性フェロモンルアー(AZLルアー)を用いたモニタリングの結果、コナカイガラムシ類の寄生蜂であるトビコバチ科Anagyrus属の一種が特異的に誘引された。本種は、サワダトビコバチA. sawadaiに形態的に酷似するが、触角梗節、産卵管鞘などで明確に識別できることから、暫定的にAnagyrus sp.nr. sawadaiとする。本種は未記載種とみられるが、詳細については近縁種群のタイプ標本との比較が必要である。また、東広島市のカキ圃場周辺で採集されたアザレアコナカイガラムシ雌成虫マミーから本種とみられる寄生蜂が羽化してきた点、AZLルアーを使って生け捕りにした本種が飼育下のアザレアコナカイガラムシ雌成虫に対し積極的な産卵行動を示し、累代飼育も可能である点などから、本種はアザレアコナカイガラムシの天敵寄生蜂であると考えられる。今後、本種の分類学的検討を進めるとともに、土着天敵としての利用が可能か検討していく予定である。