日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[B] 分類・形態・組織

2024年3月29日(金) 13:30 〜 18:00 B会場 (萩)

16:30 〜 16:45

[B-23] 日本産Aspicolpus属(コマユバチ科:ヒメフチガシラコマユバチ亜科)の分類学的再検討

◯廣瀬 勇輝1、藤江 隼平2 (1. 東京農大・昆虫、2. 大阪自然史博)

 Aspicolpus属はコマユバチ科Braconidaeヒメフチガシラコマユバチ亜科Brachistinaeに属する体長5-12mmほどの寄生蜂で、木材穿孔性甲虫の幼虫の飼い殺し型寄生者であることが知られる。本属は旧北区を中心に世界から18種が知られる小規模な属であり、日本から3種が記録されている。日本産本属は渡辺千尚博士によって北海道の種が検討されているのみであり、種多様性の解明が遅れている。一方で、近隣の国や地域ではロシア沿海州から7種、中国大陸から6種、韓国から3種、台湾から2種が記録されている。
 演者らは日本産本属について標本収集を進め、外部形態による分類学的再検討を行った。その結果、北海道から奄美大島にかけて新たに7種を認め、そのうち1種は日本未記録種、6種は未記載種と考えられた。日本産本属の種数は10種となり、その種多様性は近隣地域を上回ることが示唆された。