日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[B] 分類・形態・組織

2024年3月29日(金) 13:30 〜 18:00 B会場 (萩)

17:00 〜 17:15

[B-25] イネカメムシ(カメムシ目:カメムシ科)の設置卵塊からチャバネクロタマゴバチ(ハチ目:タマゴクロバチ科)を発見

◯境 侑花1、佐々木 郁弥2,3、住田 歩夢3、平江 雅宏2、米田 洋斗4、東浦 祥光5、藤岡 龍生1、松尾 和典6 (1. 九大共創、2. 農研機構、3. 鳥取大院、4. (株)クボタ、5. 山口農総セ、6. 九大院比文)

イネカメムシ(カメムシ目:カメムシ科)は、国内では関東以西の全国に分布する斑点米カメムシ類の一種である。近年その被害は拡大しており、基礎的な生態情報の蓄積が重要な課題となっている。2023年8-9月、茨城県と山口県の圃場に設置したイネカメムシ卵塊から3種のTrissolcus属寄生蜂が採集された。形態観察の結果、Trissolcus sp. 1は未記載種と考えられた。Trissolcus sp. 2は、中体節及び後体節の形態的特徴からチャバネクロタマゴバチT. plautiaeと同定された。チャバネクロタマゴバチはチャバネアオカメムシ(カメムシ目:カメムシ科)等の果樹カメムシ類の主要天敵卵寄生蜂として知られる種である。Trissolcus sp. 3は、オス1頭のみが採集されており種レベルでの同定は見送ることとした。次に、Trissolcus sp. 1とTrissolcus sp. 2のミトコンドリアDNAのCOI領域を解析し、データベースに登録された情報と比較した。その結果、Trissolcus sp. 1はT. elasmuchaeの登録データと一致したが、形態的な差異が認められており、更なる調査が必要であると考えられた。Trissolcus sp. 2はチャバネクロタマゴバチの登録データと一致した。