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[B-29] 托卵するミヤコカブリダニは寄主卵の捕食に対して産卵選好性を変える
キイカブリダニ(キイ)は自身の卵のそばにとどまることで卵捕食者ミカンキイロアザミウマ(アザミウマ)から卵を守るが、ミヤコカブリダニ(ミヤコ)はそのような行動を示さない。ミヤコは卵捕食の危険がある時にのみキイの産卵場所に托卵し、卵をキイに守ってもらうことが先行研究で明らかになった。しかしながら、キイはアザミウマから完全に卵を守ることができるわけではない。本研究では、キイの産卵場所で卵捕食が起きた場合でもミヤコがキイに托卵するのかを明らかにするため、キイとミヤコの産卵選好性を調べた。キイが7卵産んだ産卵場所から卵を0, 1, 3, 5, 7個と人為的に破壊することで卵捕食を模倣した。キイは、自身の卵がある場所に産卵選好性を示し、1卵破壊した場合にも選好性を示した。しかし、3卵破壊した場所へは選好性を示さず、5卵以上破壊した場所は忌避した。これは、卵捕食によってキイが卵を放棄することを意味する。一方、ミヤコはキイの卵が1個破壊されただけで選好性を示さなくなり、3卵以上の破壊では忌避を示した。これらの結果から、卵を守ってもらうキイの卵が捕食された場所にミヤコは産卵しなくなること、卵を守るキイよりも托卵するミヤコの方がキイよりも敏感に卵捕食に反応し、托卵の有効性を評価することが示唆された。