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[B-36] 外来昆虫ブタクサハムシの寄生蜂を発見
北米原産の外来昆虫であるブタクサハムシは、わが国では1996年に発見された後、急速に分布を拡大し、現在では沖縄県を除く全都道府県に分布している。日本においては、これまで本種に寄生する昆虫の報告はなかった。また、原産地においても、寄生蠅および寄生蜂それぞれ1例の簡単な記述がされているだけであった。2019年7月6日に青森県弘前市大字樋の口町において、変色した前蛹がいたため、前蛹および終齢幼虫を採集して飼育したところ、前蛹から寄生蜂が羽化した。この寄生蜂は、ヒメコバチ科Asecodes属の1種と同定され、日本で記録された同属の既知種とは異なることから、少なくとも日本未記録種であることが判明した。2020年7月に青森県おいて調査した結果、最初の採集地周辺(弘前市大字和田町、同市大字向外瀬、藤崎町大字藤崎中川原)および同県内各地(つがる市牛潟町、中泊町大字小泊、六ヶ所村大字平沼久保、同村大字倉内道ノ上、同村大字倉内唐貝地)に本寄生蜂が生息していることが明らかになった。さらに、長野県(諏訪市大字湖南、辰野町大字横川)でも生息を確認した。本寄生蜂の由来は、非常に興味深いが、現在までのところ不明である。