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[B-38] 伊豆諸島北部および伊豆半島のスダジイタマバエ:10年間の密度変化
植食性昆虫の大発生は、寄主植物を中心とする生物群集に多大な影響を及ぼす。伊豆諸島南部では、2000年頃からスダジイの花序に虫えいを形成するスダジイタマバエ(以下、本種)の大発生が続いており、スダジイの結実がほとんど見られない状態が続いている。一方、伊豆諸島北部では、2010年代前半には本種による虫えいが確認されない島もあったが、近年はすべての島に加えて伊豆半島でも虫えいが確認されている。本研究では、2022年から2023年にかけて伊豆諸島北部(大島・利島・新島)と伊豆半島において本種の密度調査を実施した。大島と新島では、2010年代に比べて島全体で本種の密度が高まっており、近い将来、伊豆諸島南部に近い状態まで増加することが懸念された。また利島と伊豆半島では、2010年代の調査では虫えいが確認されなかったが、2022年にはいずれも確認された。今後、伊豆諸島全体および本州において、本種の分布がさらに拡大し、スダジイの種子生産およびそれを利用する生物群集に深刻な影響が及ぶことが懸念される。