日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[B] 生態学・行動学

2024年3月31日(日) 09:00 〜 11:15 B会場 (萩)

09:15 〜 09:30

[B-40] カドマルカツオブシムシDermestes haemorrhoidalis Küsterの発育と産卵

◯宮田 恵佑1、村井 保1 (1. (株)アグリクニック研究所)

乾燥食品や飼料の倉庫保存中で様々な害虫が問題となっており、かつお節でも保存中に本種の被害が顕在化している。これまで本種の生態や防除等に関する情報は非常に少ない。そこで、本種の防除の基礎資料を得るため発育と産卵について調査したので報告する。
25℃条件下では、孵化率は98%、卵期間は3.6日、幼虫の発育期間は102日、蛹期間は前蛹も含め約18日であった。8~16回の脱皮で蛹化し、成虫の性比は1:1であった。産卵前期間は6.7日で、産卵開始後1か月間の産卵数は1日あたり平均5卵であった。水を与えないと産卵前期間は長くなり、産卵数は減少した。水のみおよび絶食条件では産卵しなかった。交尾行動が確認された成虫では約7日間寿命が延び、1か月近く生存することが分かった。交尾した雌は最大109日間産卵し続け、産卵開始から50日間は孵化率90%以上であった。産卵期間後半は産卵数と孵化率は低下した。
条件さえ整えば、交尾済みの雌成虫単独で増殖可能であり、本種は絶食耐性が強いことから一時的に倉庫から餌となる製品を除去しても防除は難しいと考えられる。既報の貯穀害虫と比較して,卵期間が極めて短く、食害量も多いことから、動物性たんぱく質の食害虫として、今後、防除技術を確立する必要があると考えられる。