The 84th Annual Meeting of the Entomological Society of Japan・The 68th AEZ annual meeting

Presentation information

Oral presentation

[B] Ecology & Behavioral ecology

Sun. Mar 31, 2024 9:00 AM - 11:15 AM Site B (Hagi)

10:15 AM - 10:30 AM

[B-44] ある種のチョウの幼虫に見られる頭部突起の適応的意義 ~フタオチョウ幼虫の硬い頭部突起の役目に関する「天敵からの防衛」仮説の検証2~

◯Ikuo Kandori1, Yuhei Hosokawa1, Kenta Kori1, Takami Sakamoto1 (1. Kindai University)

一部のチョウの幼虫は頭部またはその近くに触角とは異なる長い突起を1対持っている。この突起は頭蓋と一体化した硬い突起と、頭蓋のすぐ後ろに生えた柔らかい突起に分けられる。硬い頭部突起の役割について調べた研究はほとんどないが、演者らの先行研究において、ゴマダラチョウの幼虫がもつ硬い頭部突起について「天敵からの防衛」仮説が実証された(Kandori et al., 2022)。本研究では同じように頭部に硬い突起を持つフタオチョウ幼虫においても「天敵からの防衛」仮説が当てはまるかどうかを検証した。野外天敵調査の結果、アシナガバチ類が主要な天敵となっていた。天敵による捕食実験では突起の処理に関して、通常の「突起有り」の幼虫と、突起を人為的に切除した「突起無し」の幼虫、そして今回新たに、突起無しの幼虫の頭蓋に他個体の突起を接着した「突起接着」の幼虫を作出した。これら3処理区の幼虫を野外アミ室内においてセグロアシナガバチに攻撃させ、幼虫が攻撃を受けた直後の生存率(防衛率)を調べた。その結果、幼虫の生存率は突起有りの幼虫(94.4%)と突起接着の幼虫(100%)が突起無しの幼虫(46.6%)より高くなった。これらの結果は仮説を支持していた。