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[B-48] マツノザイセンチュウは触覚によって摂食行動を開始・制御する
触覚は、様々な刺激が統合して理解される複雑な感覚であり、その仕組みの理解は五感のなかで最も遅れている。線虫の中で口器に針をもつ種では(以下、口針線虫)、触覚が餌認識の際に重要な役割を持つとされる。線虫は単純な神経系をもち、1神経細胞レベルでの機能解析が可能なことから、複雑な感覚である触覚を理解する上でよいモデル系になると考えている。しかしながら、口針線虫が実際に触覚を利用して餌認識をしているかは実験的に明らかにされていない。そこで本研究では、口針線虫としてマツノザイセンチュウ(以下、マツノザイ)を使用し、餌に模した直径20 µmのガラスビーズに対する摂食行動を観察・解析することで、餌認識における触覚の役割を調べた。その結果、マツノザイは、頭部に触れたビーズに対して約46%の確率で口針を射出することが明らかになった。また、口針射出時にビーズが左右に逸れた際は、頭部を動かしビーズとの適切な角度を維持する様子がみられ、頭部を動かす回数と口針射出回数の間には正の相関が確認された。以上から、マツノザイは触覚刺激により摂食行動を開始することと、口器と餌との物理的なズレを感知し、修正できることが明らかになった。現在、神経細胞破壊試験によって、上記行動を制御している神経細胞の同定を試みている。