日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[B] 生態学・行動学

2024年3月31日(日) 13:30 〜 16:00 B会場 (萩)

15:00 〜 15:15

[B-54] 植物上に形成される節足動物の群集集合を環境DNAを用いて観察する

◯米谷 衣代1 (1. 近畿大学・農学部)

本研究では、環境DNAを回収するプラント・フロー・コレクション法とふき取り法を組み合わせて、セイヨウアブラナ上に形成される節足動物の群集集合をモニタリングし、従来の方法である目視調査法で検出された群集集合と比較することを目的とした。セイヨウアブラナを4株植えたものを1区画とし、6区画を実験圃場に配置した。その後、4月19日から6月30日までの2日に1回、目視調査を行った。また同日に植物体の表面全体からeDNAが含まれた水を回収した。分析の結果、種まで同定できた節足動物は12目83種であった。ASV数が最も多かったのはダニ目で、次いでハエ目、チョウ目であった。リード数ではチョウ目が最も多く、次いでハチ目、アザミウマ目であった。野外調査の個体数はカメムシ目、チョウ目、ハチ目の割合が高かった。目視では確認が困難である微小昆虫がDNA解析で多く検出され、目視では同定が難しく専門知識が必要とされる種も多数検出された。モンシロチョウに注目すると、eDNAのリード数の増減と目視の個体数の増減パターンが類似していた。発表では、さらに、群集構造に関する解析結果について考察する。