日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[C] 害虫管理・IPM(施設)

2024年3月29日(金) 09:00 〜 11:15 C会場 (白橿1)

09:15 〜 09:30

[C-02] 国内のキュウリに感染する9種ウイルスを判別可能なマルチプレックスRT-PCR法

◯安達 修平1、冨髙 保弘1 (1. 農研機構・植防研)

国内のキュウリでは、アザミウマ類やコナジラミ類、アブラムシ類による被害に加え、これらが媒介する8種の植物ウイルスによって被害が深刻化する。ウイルス種によって媒介昆虫は異なることから、病徴の見られたキュウリのウイルス種を特定することで、適切な病害虫管理が可能となる。本研究では、土壌伝染性の1種を加えた9種(ウリ類退緑黄化ウイルス、ビートシュードイエロースウイルス、スイカ灰白色斑紋ウイルス、メロン黄化えそウイルス、キュウリモザイクウイルス、スイカモザイクウイルス、ズッキーニ黄斑モザイクウイルス、パパイア輪点ウイルス、キュウリ緑斑モザイクウイルス)を特異的に検出可能なマルチプレックスRT-PCR法を開発した。本手法では、RT-PCR条件を最適化するため、アニーリング温度とプライマーの混合比、PCRサイクル数を検討した。その結果、全ての対象ウイルスについて、マルチプレックスRT-PCRにより想定されるサイズの増幅産物が得られた。続いて、九州で採集したキュウリ葉を対象として、ウイルスの感染を本手法で確認したところ、3種のウイルスの単独感染または混合感染が認められた。以上から、開発したマルチプレックスRT-PCR法は、国内のキュウリで問題となるウイルスの診断に利用可能であると考えられた。