日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[C] 害虫管理・IPM(施設)

2024年3月29日(金) 09:00 〜 11:15 C会場 (白橿1)

09:45 〜 10:00

[C-04] 沖縄の露地キクにおける土着天敵利用の可能性

◯喜久村 智子1、與儀 喜代政1 (1. 沖縄農研究センター)

沖縄県のキク栽培では、クロゲハナアザミウマやナミハダニ黄緑型が問題となっている。現在、これらに対しては高頻度な農薬散布が行われているが、キクの密植により散布むらが生じることに加え、ナミハダニ黄緑型は農薬抵抗性を発達させているため、化学農薬のみでの防除が困難となっている。高頻度な農薬散布は、生産者の経済的・労働的負担が大きく、また環境への負荷も大きいことから、今回は、環境にやさしい病害虫防除技術の開発に向け、土着天敵であるコミドリチビトビカスミカメ(以下、コミドリ)を用いたクロゲハナアザミウマに対する防除効果を検証した。その結果、定期的に化学殺虫剤を散布する慣行区と比較して、コミドリを放飼した区(以下、コミドリ区)では、農薬散布回数が1/10に低減したにも関わらず、アザミウマ虫数は試験期間を通して葉あたり0.3頭未満と低く推移した。さらに、ナミハダニ黄緑型の発生も葉あたり0.01頭未満とほとんど発生が認められなかった。コミドリ区では、慣行区よりクロテンコナカイガラムシの発生が多くなるという課題はあるものの、キクのコミドリを活用したクロゲハナアザミウマ防除は有効であることが強く示唆された。