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[C-08] 殺ダニ剤と気門封鎖剤との混用処理によるナミハダニに対する防除効果
三重県の施設イチゴ栽培では、本圃におけるカブリダニ類によるハダニ類防除が主体となって10年程度となる。そのため、カブリダニ類に影響の少ない殺ダニ剤の使用頻度が高くなっており、ナミハダニの薬剤抵抗性を発達させる懸念がある。そこで、殺ダニ剤の抵抗性リスクの低減を目的に、殺ダニ剤と気門封鎖剤である脂肪酸グリセリド乳剤との混用処理による防除効果を調査した。室内試験は2023年に県内イチゴ産地から採集したナミハダニ個体群を用いて、インゲンマメ初生葉を用いた散布法で行った。その結果、ミルベメクチン水和剤2,000倍液単用では補正死亡率25.6%、脂肪酸グリセリド乳剤300倍液単用で26.9%であったのに対して、混用では84.6%と、有意に高くなった。また、アシノナピル水和剤8,000倍液単用では72.1%、脂肪酸グリセリド乳剤300倍液単用で26.9%であったのに対して、混用では100.0%と、いずれも殺虫効果の向上が認められた。さらに、ミルベメクチン水和剤を用いた圃場試験では、室内試験と同様に混用処理による防除効果の向上が確認された。このことから、感受性の高い殺ダニ剤と脂肪酸グリセリド乳剤との混用処理は、ナミハダニ防除における抵抗性リスクの低減に有効と考えられた。