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[C-17] 省力化樹形栽培のリンゴにカブリダニ製剤を放飼したときのカブリダニ移動状況
果樹類においても近年カブリダニ製剤の導入が進められている。しかし、果樹園は面積が広いことに加え、各樹が独立し、樹と樹の間が離れている立木栽培では樹間のカブリダニの移動が困難なことから、全ての樹に天敵製剤を放飼する必要があり、労力や経費面での負担が大きい。一方、栽培分野で研究が進む果樹の省力樹形による密植栽培体系では、樹冠、枝や主幹が互いに接し、カブリダニの樹間移動が容易となると考えられる。このため、一部の樹に天敵製剤を放飼することで全ての樹に製剤由来のカブリダニが行き渡り、放飼コストおよび防除効果の面で効率化が期待出来る可能性がある。そこで、リンゴのY字樹形栽培とジョイント栽培において、1樹おきにミヤコカブリダニ製剤(ミヤコバンカーⓇ)を放飼し、放飼樹と無放飼樹での製剤由来のミヤコカブリダニ(以下、ミヤコ)の発生状況を、立木栽培に1樹おきに放飼した場合と比較した。Y字樹形栽培、ジョイント栽培ともに無放飼樹でもミヤコが多く観察された。一方、立木栽培でのミヤコの発生は放飼樹にほぼ限られた。さらに、両省力樹形とも3樹おきに放飼した場合でも、無放飼樹でミヤコが観察された。以上から省力樹形の密植栽培では全ての樹に製剤放飼する必要が無く、効率的な放飼について可能性が示唆された。