日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[C] 害虫管理・IPM(畑・果樹)

2024年3月29日(金) 13:30 〜 17:00 C会場 (白橿1)

15:45 〜 16:00

[C-19] カンキツのナシマルカイガラムシに対する4月のブプロフェジン水和剤とマシン油乳剤ならびにパラフィン系展着剤の混用散布が防除効果に及ぼす影響

◯池田 亜紀1、衞藤 友紀2 (1. 佐賀果樹試(現佐賀農試セ)、2. 佐賀果樹試)

佐賀県のカンキツでは、基幹防除薬剤の販売停止等に伴い、カイガラムシ類の寄生による果実品質・樹勢の低下が問題となっている。現在、本県ではヤノネカイガラムシを対象とし、4月にブプロフェジン水和剤(以下ブプロフェジン)と97%マシン油乳剤(以下マシン油)の混用散布(増井・土田,2018)が行われている。近年、ナシマルカイガラムシによる被害が増加していることから、本種に対するブプロフェジンとマシン油ならびにパラフィン系展着剤の4月の混用散布について、2022~23年の2ヵ年防除効果の検討を行った。7月中旬の寄生果率は、実施した3試験全てでマシン油加用区が最も低く、次いで展着剤加用区、ブプロフェジン単用区、無処理の順に高かった。また、ブプロフェジン単用区および無処理に比べ、マシン油加用区は3試験中2試験、展着剤加用区は3試験中1試験で有意に寄生果率が低かった。これらの結果より、本種を対象とした4月のブプロフェジンとマシン油の混用散布は、従来の防除適期である5~6月の歩行幼虫発生期を把握しなくても散布時期を逸することなく、ヤノネカイガラムシやハダニ類との同時防除が可能なことから、効率的な防除法と考えられた。