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[C-21] ツヤハダゴマダラカミキリのリンゴとトチノキに対する選好性の調査
福島県では、2021年にツヤハダゴマダラカミキリ(以下、本種)の侵入を確認した。農水省リスクアナリシス報告書によれば、本種は、国外においてリンゴ等果樹への寄生が報告されており、果樹の加害が危惧されている。そこでリンゴと本県において主要な寄主の一種であるトチノキに対する本種の選好性を調査した。調査は、福島市の果樹研究所内で行った。12年生のリンゴ「ふじ」と鉢植えのトチノキに縦3m×横6m×高さ5mで目合い5mmの網をかけ、伊達市のトチノキから採集した本種成虫(雌雄各3頭)をリンゴ及びトチノキの調査樹から等距離の位置に放虫した。その後、放虫個体が定位するまで観察し、定位後は放虫7日後まで毎日目視により、生存数、生息場所及び行動を調査した。なお、放虫7日後に放虫個体を回収した。この調査を2023年8月3日、10日、17日の3回行った。その結果、1、2回目の放虫ではトチノキのみで本種の定位、後食行動、産卵痕が確認された。 3回目の放虫では、雌雄各1頭についてトチノキ、リンゴ両方で定位し、トチノキ以外に、リンゴでもわずかに産卵痕が確認された。このことから、今回供試した個体群はリンゴよりトチノキへの選好性が高いことが示唆された。