16:45 〜 17:00
[C-23] ミトコンドリアハプロタイプ情報を用いたアリモドキゾウムシ再発生状況の把握と根絶の判定法
アリモドキゾウムシ(Cylas formicarius)は、ヒルガオ科植物を寄主とするサツマイモの世界的大害虫である。沖縄県では不妊虫放飼法を用いた根絶事業を行っており、久米島に続いて、2021年に津堅島での根絶を達成した。津堅島は、沖縄本島からのオスの飛来という「ノイズ」が常に発生するため、同島において根絶状態を維持するには、通常とは異なるアプローチが必要である。そこで本研究では、ミトコンドリアCOI領域の配列情報を用いて、再侵入が起きた際の発生状況把握と防除による再根絶判定の補助を行う方法の開発を試みた。有効性の評価には、2023年における再侵入時に見つかったアリモサンプルを用いた。2022年4月〜2023年12月の期間に津堅島で採集されたアリモサンプルを調べた結果、8つのハプロタイプグループに分けることができたが、津堅島での発生個体は全て同じハプロタイプに分類されたため、残り7つのハプロタイプは島外からの飛来虫と判断できた。今回の結果はノイズを完全に除去できているわけではないと考えられるが、今回の侵入が起こった時期と発生場所の推定は可能であった。本発表では、この結果がどのように再根絶確認に利用できるかについて議論したい。