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[C-24] トラップ設置環境によるスクミリンゴガイ捕獲効率の差異
南米原産の外来種であるスクミリンゴガイは移植直後の水稲を食害するため、トラップを用いた捕獲による防除が導入されている。これまで、トラップの開発・改良や誘引効果の高い餌の探索などが行われてきたが、設置環境による捕獲効率の差異に関する知見は不足している。そこで、水田での捕獲調査と室内試験によって、水口側と水尻側、もしくは水深によって捕獲効率が異なるか検証した。水田での調査は2023年8月11~24日に滋賀県野洲市の4筆で実施した。スクミリンゴガイ用箱型トラップを3個/10 a設置し、6もしくは7日間隔で回収した。大型個体(殻高20 mm以上)と小型個体(20 mm未満)に分け、設置環境と捕獲効果を解析した結果、水口側と水尻側で捕獲個体数に有意な差はみられなかった。一方で、小型個体は同じ水田内でも水深が深い場所で捕獲数が少なく、水深が7~20 cmの範囲で深いほど捕獲数が有意に少なくなった。水深と捕獲効果の関係を室内試験でも検証したところ、殻のサイズによらず、捕獲率は水深7 cmよりも14 cmの場合に有意に低かった。以上の結果から、効果的な捕獲のためには、水深10 cmより浅い場所に等間隔にトラップを設置することが望ましいと考えられた。