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[C-25] 八重山地域の水田におけるカメムシ類の種構成
世界自然遺産登録地である西表島を含む八重山地域は、沖縄県内の米の主産地でもあり、このため本地域の水田は、湿地性の希少な生物種の代替生息地としての役割も担っている。その一方で、本地域では、主に斑点米カメムシ類への対策として、主要害虫種が特定されないまま、ネオニコチノイド系剤等の環境影響が大きい農薬が散布されている。この問題の解決のためには、斑点米をもたらす種を特定した上で各種農薬の殺虫効果を調べ、代替農薬を選ぶ必要がある。今回、こうした研究の第一歩として、石垣・西表・与那国島の水田で採集されたカメムシ類約2,400個体を種または属レベルまで同定した。その結果、計15科46種が確認され、この中でアカカメムシ、アカスジホソナガカスミカメ、ホソハリカメムシ、タイワンクモヘリカメムシとミナミホソナガカメムシの5種が目立って多く、これらの成虫だけで約半数を占めた。5種の構成比は島間で異なり、たとえば石垣・西表での最優占種はアカカメムシだったが、与那国ではホソハリカメムシだった。これら5種のいずれかが主要害虫となっている可能性があるが、九州以北で斑点米カメムシとして知られるのはホソハリカメムシだけであり、他4種の生態的知見は乏しく、斑点米生産能力も不明なため、今後詳しく調べる必要がある。