日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[C] 害虫管理・IPM(水田)

2024年3月30日(土) 09:00 〜 10:30 C会場 (白橿1)

09:00 〜 09:15

[C-27] 愛知県内のイネカメムシに対するエチプロール水和剤の感受性低下について

◯石川 博司1、濱頭 葵2、石井 直樹1 (1. 愛知県農業総合試験場、2. 海部農林水産事務所)

近年、愛知県内の水田でイネカメムシが多発し、収量低下などが問題となっている。そこで、防除対策のために、2023年7月から9月に県内複数地点から成虫を採集し、主要薬剤に対する感受性を虫体浸漬法(常用濃度)で調査した。その結果、愛知県西部に位置する弥富市で採集した成虫では、エチプロール水和剤の補正死虫率が越冬世代(7月中旬採集)で67%、新世代成虫(9月中旬採集)で0から37%で、本剤の感受性低下が明らかになった。本剤の感受性低下の要因解明のために弥富市内の栽培状況を調査した結果、出穂期のほ場が7月上旬から8月下旬までほぼ常に存在する栽培体系であり、各作型で主に本剤が15年以上使用されていることが分かった。このことから、本種越冬成虫が出穂期頃から飛来し、1~2週間程度でほ場を移動しながら、7月上旬から8月下旬にかけて複数回本剤の散布を受け、新世代の感受性が低下してきたと考えられた。また、長年、本剤の散布が繰り返された結果、年1化性にもかかわらず、本剤に対して著しい感受性低下が発生したと考えられた。今後は、主要薬剤であるジノテフラン水溶剤の感受性低下を防ぐために、連用を避けた防除体系を検証し普及推進する必要がある。