日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[C] 害虫管理・IPM(水田)

2024年3月30日(土) 09:00 〜 10:30 C会場 (白橿1)

09:45 〜 10:00

[C-30] 冷凍卵設置調査によるイネカメムシの卵寄生蜂の探索

◯住田 歩夢1、竹松 葉子2、東浦 祥光3 (1. 鳥取大学大学院連合農学研究科、2. 山口大学創成科学研究科、3. 山口県農林総合技術センター)

イネカメムシNiphe elongata(Dallas)は国内の代表的な斑点米カメムシであり、出穂期前後の集中した加害による不稔籾の発生が問題となっている。現在の防除対策は化学的防除が大部分を占めているが、水田における殺虫剤の利用は他の生物に対して様々な影響を持つ。したがって化学農薬を用いない防除法として生物的防除の発展が望まれている。しかし本種の天敵に関する報告はほとんどない。そこで本調査では本種の生物的防除の第一段階として、天敵の探索を行った。山口県内の2地点の水田において2023年7月中旬から9月上旬にかけて本種の冷凍卵トラップを設置し、卵寄生蜂の探索を行った。本種の卵塊20個を1週間ごとに各水田に設置し、設置後3~4日で回収した。回収した卵塊は恒温条件下で保管し、寄生蜂の羽化を観察した。すべての期間を通して回収した卵から3種の寄生蜂キアシカメムシタマゴトビコバチOoencyrtus acastus Trjapitzin (トビコバチ科)、Trissolcus sp. (タマゴクロバチ科)、Telenomus sp.(タマゴクロバチ科)が羽化した。本講演では、冷凍卵設置調査の有効性および羽化した3種の生物的防除因子としての可能性について考察する。