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[C-31] 乾燥種子を使用したイネカメムシの累代飼育法
近年、稲作において急激に問題化したイネカメムシは、水稲の冷凍穂を用いて累代飼育できる。しかしながら、餌の確保に水稲の栽培が必要であることから、水稲栽培の可否、時期、および確保できる穂の量に累代飼育の活用が制限されている。そこで本研究では、年間を通して安定供給が可能な餌を用いたイネカメムシの累代飼育法の確立を目的として、玄米、コムギ種子およびアワ種子を餌とし、アスコルビン酸水溶液、または蒸留水のいずれかを給水源とした累代飼育を試みた。その結果、いずれの給水源を使用した方法でも少なくとも2世代にわたってイネカメムシを飼育できた。また、給水源が異なる2種類の方法でイネカメムシの生育を比較したところ、アスコルビン酸水溶液を用いた方法では幼虫期間が短く、羽化率が高かった。2023年12月現在、アスコルビン酸水溶液を給水源とした方法で5世代にわたりイネカメムシを累代飼育している。この累代飼育法により、年間を通したイネカメムシの安定供給が容易になり、イネカメムシを用いた様々な試験研究への展開が期待できる。