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[C-39] スズメバチ女王から新たに発見された寄生バチの生態と分類
スズメバチ女王からこれまでに知られていない寄生バチを検出した。スズメバチでは1頭の女王から多数の働きバチや次世代女王及びオスが産出されるので、寄生生物の女王への影響を明らかにすることは、スズメバチの個体数変動を考えるうえで重要である。そこで、この寄生バチの基礎的な生態と分類学的位置を明らかにすることを目的に、長野県内で5月から12月にかけてスズメバチ(スズメバチ属)を誘引捕獲法により採集し、解剖した。その結果、寄生バチの幼虫が、キイロスズメバチ、コガタスズメバチ、ヒメスズメバチ及びチャイロスズメバチの女王から検出され、オオスズメバチとモンスズメバチの女王及び各種の働きバチとオスからは検出されなかった。また、生きた状態で採集されたスズメバチ女王の飼育を試みたところ、複数の寄生バチ幼虫の脱出が見られる場合があった。脱出した寄生バチ幼虫は翌日には繭を形成したが、その後成虫の羽化は確認されなかった。寄生バチ幼虫の脱出したスズメバチ女王は、脱出が始まったあと1~2日で死亡した。一方、ミトコンドリアCO1遺伝子の塩基配列により寄生バチの系統関係を調べたところ、本種はコマユバチ科のSyntretus属に属する可能性が高いことが明らかになった。