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[C-41] ニホンミツバチのオオスズメバチに対する防御行動として塗布される物質について
ミツバチにとって最大の天敵はアジア地域に広く分布するオオスズメバチである。オオスズメバチはミツバチに対して集団攻撃を仕掛け、巣の中の幼虫、蛹、蜜を略奪する。セイヨウミツバチはオオスズメバチによる集団攻撃を受けると数時間のうちに巣が壊滅する。対照的にオオスズメバチと同所的に共存してきたニホンミツバチは、熱殺蜂球などでオオスズメバチの集団攻撃を回避する手段を獲得している。熱殺蜂球以外にもニホンミツバチはオオスズメバチの脅威にさらされると何らかの物質を大顎で挟んで持ち帰り、巣の入り口付近に塗り付ける。塗布物の機能は不明だが、オオスズメバチに対する忌避効果、オオスズメバチの集団攻撃を誘発するマーキングフェロモンのマスキング効果、ミツバチの巣の存在を隠すための匂い消し効果などが予想される。これまでニホンミツバチがタニソバの葉、萼、蕾、花弁を齧り取り、巣の入り口に塗布することが報告されているが、他にどのような物質が利用されているか分かっていない。本研究では、ニホンミツバチがオオスズメバチから巣を守るために使用する物質をさらに探索するため、巣の入り口に塗られた物質から抽出したDNAを用いてDNAバーコーディング法で解析した。