日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[C] 社会性昆虫

2024年3月31日(日) 09:00 〜 11:15 C会場 (白橿1)

10:30 〜 10:45

[C-44] 大量動員を行うトビイロケアリの斥候が巣仲間に伝える情報を探る

◯秋野 順治1、鳥海 岳志1 (1. 京都工芸繊維大学)

ミツバチは高度なコミュニケーション能力をもち、巣から採餌場にたどりつくため必要な方向・距離等の情報を、特有の「ハチの字ダンス」やフェロモンで巣仲間に伝達する。同様に高度なコミュニケーション能力をもつアリ類も、巣仲間同士が協力し合い、時に大量動員ーいわゆるアリの行列形成を行うことで、協調的な採餌行動を行うことが知られている。大量動員時に用いられるシグナルは道しるべフェロモンと呼ばれ、巣と採餌場を結ぶ地面上に残されることから、これが向かうべき方向に関する情報を伝えるものと考えられる。一方、一部のアリ種では、これに加えて、餌場までの距離や道中のリスクの有無に関する情報についても巣仲間に伝達されることが示唆されている。私たちは、トビイロケアリを主対象として、その斥候アリが巣仲間に伝える情報内容の解明を目指し、様々な条件下での動員効果を検証してきた。今回は、巣・餌場間の距離に関する情報伝達について判明したことを報告する。