[C] Social insects

[C-50] ロイヤルフードの世界初解明：シロアリの王と女王は何を食べているのか？

◯Matsuura Kenji¹, Eisuke Tasaki², Yuki Mitaka⁴, Yutaka Takahashi³, Waliullah A.S.M. ³, Zinat Tamannaa³, Takumi Sakamoto³, Ariful Islam³, Masaki Kamiya³, Tomohito Sato³, Shuhei Aramaki³, Kenji Kikushima³, Makoto Horikawa⁵, Katsumasa Nakamura³, Tomoaki Kahyo³, Mamoru Takata¹, Mitsutoshi Setou³ (1. Kyoto University, 2. Niigata Univ., 3. Hamamatsu Univ. Sch. Med, 4. Texas A&M Univ., 5. Hiroshima Univ.)

シロアリと言えば、木を食べる昆虫というのが一般的な認識のされ方であろう。しかし、木を食べるのは専らワーカーの仕事で、王や女王はワーカーから特殊な食べ物を与えられ、繁殖に専念している。そして、その特別食（本研究でロイヤルフードと命名）によって王や女王は何十年も活発な繁殖を続けることができ、いわゆる繁殖活動と寿命のトレードオフを打破している。このロイヤルフードが一体どのような成分なのか、これまで謎に包まれていた。本研究では、まず、ヤマトシロアリの王と女王を効率的に採集する技術を確立し、化学分析のために十分な量のローヤルフードを直接サンプリングする方法を開発し、最先端の質量分析技術を駆使してその成分の特定に成功した。また、安定同位体（13C）標識したセルロースをワーカーに食べさせ、脱離エレクトロスプレーイオン化-質量分析イメージング（DESI-MSI）により13C標識物質を追跡したところ、セルロースからロイヤルフード成分であるホスファチジルイノシトールとアセチル-L-カルニチンが作られ、ワーカーの経口給餌によって女王の体内に移行することが確認された。