日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[C] 社会性昆虫

2024年3月31日(日) 13:30 〜 14:30 C会場 (白橿1)

14:15 〜 14:30

[C-50] ロイヤルフードの世界初解明:シロアリの王と女王は何を食べているのか?

◯松浦 健二1、田崎 英祐2、三高 雄希4、高橋 豊3、Waliullah A.S.M. 3、 Tamannaa Zinat3、坂本 匠3、Islam Ariful 3、Kamiya Masaki 3、佐藤 智仁3、荒牧 修平3、菊島 健児3、堀川 誠5、Nakamura Katsumasa 3、華表 友暁3、高田 守1、瀬藤 光利3 (1. 京都大学大学院農学研究科、2. 新潟大学理学部、3. 浜松医科大学、4. Texas A&M Univ.、5. 広島大学)

シロアリと言えば、木を食べる昆虫というのが一般的な認識のされ方であろう。しかし、木を食べるのは専らワーカーの仕事で、王や女王はワーカーから特殊な食べ物を与えられ、繁殖に専念している。そして、その特別食(本研究でロイヤルフードと命名)によって王や女王は何十年も活発な繁殖を続けることができ、いわゆる繁殖活動と寿命のトレードオフを打破している。このロイヤルフードが一体どのような成分なのか、これまで謎に包まれていた。本研究では、まず、ヤマトシロアリの王と女王を効率的に採集する技術を確立し、化学分析のために十分な量のローヤルフードを直接サンプリングする方法を開発し、最先端の質量分析技術を駆使してその成分の特定に成功した。また、安定同位体(13C)標識したセルロースをワーカーに食べさせ、脱離エレクトロスプレーイオン化-質量分析イメージング(DESI-MSI)により13C標識物質を追跡したところ、セルロースからロイヤルフード成分であるホスファチジルイノシトールとアセチル-L-カルニチンが作られ、ワーカーの経口給餌によって女王の体内に移行することが確認された。