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[D-03] 日本の冬期におけるアメリカミズアブ飼育の問題点と改善法
アメリカ大陸原産のアメリカミズアブ(Helmetia illucens)は飼料原料用の昆虫として多くの国で飼育されている。しかし、冬期がある温帯以北の地域でミズアブを商業的に生産するのは容易ではない。ミズアブ飼育に最適な温度は28℃前後、湿度は60%程度である。これらは温帯地域の冬の条件とはかなり異なっている。例えば、我々の研究施設があるつくば市における冬期の気温は4.2℃であり、暖房設備で飼育施設の温度を上げた場合の室内の湿度は20%以下に低下する。この条件下では、次世代を得るための成虫の飼育と採卵に重大な支障がある。冬期のミズアブの次世代生産効率の低下要因を蛹化率、羽化率、産卵数、ふ化率に分け、夏期と比較した。結果、冬期は蛹化率が最大6%、羽化率が最大23%、産卵数が29%、ふ化幼虫数で51%それぞれ低下し、これらを合わせた冬期の次世代生産の減少率は74%に達すると考えられた。減少の主な原因は乾燥によるものと考えられたため、乾燥による害を防ぐ飼育の改良方法を検討したので、合わせて報告したい。