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[D-09] カイコ大造系統と日01号系統を利用した繭層歩合QTL解析
カイコは遺伝子組換えやゲノム編集技術の利用が可能であり、これらの技術を利用した有用タンパク質の生産やシルクの機能改変に関する研究が進められている。カイコは系統によって繭層の重さや繭層歩合(繭全体の重さに対する繭層の重さの割合)に違いがあり、そのような違いが生み出される仕組みについてはいまだ限定的な理解にとどまっている。本研究では、カイコの有用タンパク質の生産性向上に利用可能な知見の獲得を目指し、繭層歩合に違いがある大造系統と日01号系統を用いてQTL解析を行った。その結果、23番染色体中に繭層歩合のQTL候補領域が存在することが明らかになった。この領域に存在する遺伝子の発現について調べたところ、繭層歩合が高い日01号で絹糸腺での発現が強く、繭層歩合が低い大造で発現が弱い遺伝子を見出すことに成功した。ゲノム構造を比較した結果、日01号においてこれらの遺伝子のプロモーター近傍にレトロトランスポゾン様の配列が挿入されていることが確認された。今後は、過剰発現やノックアウトを行って繭層歩合に変化が生じるのかどうかを解析し、これらの遺伝子が繭層歩合のQTLに寄与しているのかどうかを明らかにしたいと考えている。