日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[D] 生物的防除・寄生・捕食

2024年3月29日(金) 13:30 〜 17:00 D会場 (白橿2)

15:15 〜 15:30

[D-17] 天敵を利用した促成栽培ピーマン等施設内外の雑草に発生するカイガラムシ類

◯上里 卓己1、安次富 厚2、與儀 喜代政2、秋田 愛子2 (1. 沖縄病害虫防技セ、2. 沖縄農研セ)

沖縄県の促成ピーマン・ナス施設栽培では、アザミウマ類、タバココナジラミ等に対する天敵スワルスキーカブリダニとタバコカスミカメを併用した防除の普及が進められている。天敵利用が進む中、これまで問題とならなかったカイガラムシ類が多く発生する施設が見られるようになった。この問題は既に天敵利用先進地である高知県や鹿児島県で指摘されており、防除対策を検討する際は、発生種や発生状況などを明らかにする必要がある。このため沖縄県内において、2020~2022年に発生状況を調査した結果、ピーマンでは2科5種が発生しており、その中でクロテンコナカイガラムシ(以下、クロテン)が優占種であったことを報告した(昆虫学会、2023)。そこで今回は施設内外に生息する作物以外の植物(以下、雑草)に発生するカイガラムシ類を調査したところ、ピーマン・ナスで優占種であったクロテンは17科34種の雑草上で発生がみられた。そのうち28種が未記録寄主植物であった。その他9種のカイガラムシが雑草にみられたが、ピーマン・ナスと共通するのは5種であった。このことから施設内外の雑草は栽培作物の発生に関与する可能性が考えられたことから、その他の結果を含めて発生源について考察する。