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[D-21] ナラ枯れ跡地に発生したカエンタケに寄生するシズカトモナガキノコバエ
子嚢菌類のカエンタケ Trichoderma cornudamae がナラ枯れ跡地に発生することがよく知られている。カエンタケは猛毒きのことしても知られており、国内や韓国でこの子実体を摂食して死亡する例が知られている。2022年と2023年に島根県内のナラ枯れ枯損木の切り株で採取されたカエンタケから双翅目キノコバエ科の1種が羽化した。これを Rymosia placida Winnertz, 1863 と同定し、和名としてシズカトモナガキノコバエ(以下シズカ)を提唱する。本種の産地として本州は、また、寄主きのことしてカエンタケはそれぞれ初めての記録となる。カエンタケ子実体を直接食害する動物はこれまで報告されていない。国内各地でシズカがカエンタケを寄主きのことして利用しており、さらにこの寄主・寄生者関係が東アジアの森林で成立したことが考えられる。