日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[D] 生理学・生化学・分子生物学

2024年3月31日(日) 09:00 〜 11:30 D会場 (白橿2)

10:00 〜 10:15

[D-38] 光刺激に対するタイリクヒメハナカメムシの応答行動の解析

◯沼沢 良太1、大橋 ひろ乃1、櫻井 健志1 (1. 東農大・農)

病害虫は、食害や生育不良による農作物の収量の低下を引き起こす。これまで、病害虫対策に化学農薬が広く利用されてきたが、継続的使用による土壌や生態系への影響が懸念されている。そこで、病害虫の天敵(生物農薬)の利用が進められている。しかしながら、昆虫型の生物農薬は農場への定着性が低く効果が一時的なものに留まるという問題がある。昆虫型の生物農薬の長期的・安定的な防除効果を生み出すには、生物農薬の定着性を上げる必要がある。そこで、我々は光応答特性を利用した行動制御法の開発を目的に、生物農薬として実用化されているタイリクヒメハナカメムシ (Orius strigicollis) の光に対する応答行動を解析した。具体的には、どの色(波長)の光に誘引されるかを解析した波長選好性実験と、色や光強度が運動活性に与える影響を解析した歩行活動測定実験を行った。波長選好性実験では、白・青・緑色光に対して誘引反応がみられたが、赤色光に対してはみられなかった。歩行活動測定実験では、青・緑色光の照射時と白色光の光強度を上げた場合に、歩行速度の低下および移動距離の減少がみられた。以上の結果から、本種は異なる波長や強度の光に対してさまざまな応答行動を示すことが示唆された。