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[D-44] 陸生軟体動物チャコウラナメクジにおける凍結耐性メカニズム
陸生軟体動物の低温耐性は、発達した殻をもつカタツムリで多く研究されてきた。一方、殻を退化させたナメクジ類は、湿った表皮が露出しており、冬季には凍結のリスクが増加すると考えられるものの、ナメクジ類の低温や凍結への耐性についての研究は乏しく、不明な点が多い。本研究では、日本で一般的に見られるナメクジ類のひとつであるチャコウラナメクジ(Ambigolimax valentianus)を対象とした。本種の低温耐性は短日条件と低温への順化によって冬季に高まることが明らかになっているが、凍結への耐性を持つかは不明であった。そこで、まず、チャコウラナメクジが凍結耐性をもつのかを調べた。2023年の6月と7月に採集した野外個体を2つの日長条件(短日・長日)、2つの温度条件(15℃・20℃)を組合わせた4条件で3週間飼育した。さまざまな低温にさらし、凍結の有無と24時間後の生死について調べた。その結果、凍結した個体の生存率は短日条件で飼育した個体のほうが、長日条件で飼育した個体よりも高かった。このことから、限定的ではあるがチャコウラナメクジが凍結耐性を持つことが示された。さらに、凍結耐性に関与する物質の探索を行ったのでその結果についても報告する。