[E] Chemical ecology, bioactive substance

[E-08] 外来種ツヤハダゴマダラと在来種ゴマダラカミキリにおける雄の交尾相手の認識の違い:コンタクトフェロモンは機能しているのか

◯Hiroe Yasui¹, Nami Uechi¹, Nao Fujiwara-Tsujii¹ (1. NARO)

この数年，日本で外来種ツヤハダゴマダラカミキリ(以下ツヤハダ)が各地で見つかっている。本種は在来のゴマダラカミキリ(以下ゴマダラ)と近縁であり，共通の寄主植物がある上，同時期に成虫が出現する。実際に同一木からツヤハダとゴマダラが同時期に脱出した例もある。室内実験でツヤハダとゴマダラの異性を一緒にしておくと，ツヤハダ雄はゴマダラ雌に交尾行動を示さないが，一部のゴマダラ雄はツヤハダ雌に交尾行動を示した。そこで，両種雌の体表成分を抽出してガラスモデルに塗布し，雄に提示したところ，ゴマダラ同士は52％，ツヤハダ同士は36％交尾試行した。一方でツヤハダ雄はゴマダラ雌抽出物には14％と低く，ゴマダラ雄はツヤハダ雌抽出物に対し36％と高い割合で交尾試行した。ゴマダラ雄は同種も近縁種も区別することなく交尾試行し，交雑する可能性があることが示唆された。メス成虫体表のコンタクトフェロモン成分はそれぞれ既に報告されており，異なる成分からなることがわかっているが、再分析を行い行動の違いを考察した。