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[E-11] モモシンクイガ幼虫による食害でリンゴ果実に誘導される化合物の動態解析
鱗翅目シンクイガ科に属するモモシンクイガ Carposina sasakii はリンゴ生産における主要害虫である.モモシンクイガは6~8月にかけて発生した成虫がリンゴ幼果表面に産卵し,孵化した幼虫は果肉および種子を食害しながら果実内で生育する.現在のリンゴ生産において,モモシンクイガから果実を守るためには化学農薬の多量撒布が必須である.持続可能な農業が求められる今,防除法の多様化が急務であり,植物が本来持つ抵抗性の利用が注目されている.先行研究により,モモシンクイガに食害された果実で食害部局所的にクロロゲン酸類及びトリテルペン類が誘導されると明らかにされた.そこで,これらクロロゲン酸類及びトリテルペン類以外にも食害部特異的に誘導される化合物が存在するか探索を行った.その結果,食害部でphlorizinが誘導されると判明した.そこで, 今回演者らは食害部でのphlorizinの経時的な誘導量の変化を調べるとともに, phlorizinがモモシンクイガ幼虫に対して何らかの生理活性を持っているか評価した.