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[F-06] スマートフォン顕鏡で分かったサトウラギンヒョウモンとヤマウラギンヒョウモンの分布~愛媛県の事例~
いわゆるウラギンヒョウモンの仲間(Argynnis属Fabriciana亜属)は旧北区に広く分布するが、A. (F.) adippeを代表種とするアディッペグループと、A. (F.) niobeを代表種とするニオベグループの2系統に大別される。従来本邦にはアディッペグループに属するウラギンヒョウモン1種のみが分布すると考えられていたが、近年の分子系統分類の成果から隠蔽種の存在が確実となっていた。そうした中、2019年にニオベグループのヤマウラギンヒョウモンA. (F.) nagiaeが記載され、2022年にはアディッペグループのレクトタイプ指定によりサトウラギンヒョウモンA. (F.) locuplesとなり、本邦にはサトとヤマの2種類のウラギンヒョウモンが分布することとなった。ヒョウモンチョウ類はレッドリストに掲載される種も多く、保全の必要性が生じている可能性があるが、両種の確実な同定には発香鱗の顕鏡が必要なため調査は進んでいない。本研究では2023年に愛媛県内で実施した採集調査と、同好者が所蔵する愛媛県産標本調査に基づき、愛媛県内における両種の分布状況を明らかとし、保全の必要性を議論するとともに、同好者に利用しやすいスマートフォンを用いた発香鱗の顕鏡方法について紹介したい。